森田剛主演舞台『夜中に犬に起こった奇妙な事件』ざっくり感想
ついにこの時を迎えてしまった。
高速バスは湊町BTに到着、私はそのままJR難波駅に向かい、そのときすでにホームに停車していた電車に乗り込んだ。
その5秒後に、もしかしたらこの電車は新今宮駅(そこで乗り換えたかった)で止まらないかもしれないと思い、一度乗った電車を降りて一本見送ってみたりした。結局、快速でも新今宮には停車してくれることはその数分後に理解した。ちくしょう、さっきの電車合ってた。
そうだ、私は田舎者なのだ。我が地元の電車は通勤通学ラッシュ時のMAXで15分ごとだ。1本の遅れが命取りになる。
しかし大阪はそうではなかった。ぽけっと突っ立っているとすぐに次の電車がきた。そうだ、ここは都会なのだ。
夏ぶりに降り立った、大阪城公園駅。無事辿り着けた、大阪城公園駅。実は再来週にも来るとか言えない、大阪城公園駅。
私は大阪城ホールを横目に目的地に向かった。
そうだ、今日は大阪城ホールが行き先ではなかった。
はやる気持ちを抑えつつ、私は大阪城ホールそばの橋を渡った。
目的地はその橋からすぐに見えた。
うおおおおおおおお!!!!!!看板見えるううううううううううううううううう!!!!!!
きたああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
というわけで、昨日にも一昨日にも言ったけど、森田剛主演舞台『夜中に犬に起こった奇妙な事件』を観てきました。
冒頭から小説チックなウザテンションでお送りしてみました。
ウザピョンウザピョン、めんご!☆(シラフ)
なんかもう私の語彙力ではたぶん舞台の感想を真面目に語ることなど(今のテンションを考慮しても)無理なので、ざっくりした感想しか言いません。ネタバレはたぶんします。すいません。ネタバレ完全シャットアウトな人は読まないでください。
とりあえずグッズのポストカードの森田さんクソイケビジュすぎて即お買い上げだよね!全然そんなつもりなかったのにな!!しかもパンフレットが2200円でこのポストカード&レターセットが800円なので、2つ買えば3000円ピッタシ!なんだろうこのスッキリ感!オッケー、買う買う~~!!(罠)
舞台に立つ森田さんの評判は前からよく耳にしていたので、私は今日この日をものすごく楽しみにしていました。
ぶっちゃけ1ヶ月ぐらい前からもう浮き足立って寝られなかった。(早)
これでもかというほどハードルをガンガンに上げて、ドッキドキしながらこの舞台を観た。
観終わった瞬間のどっとした疲労感。
知らず知らずのうちに肩に力入りまくっていたらしい。
一瞬声出なかった。喉カラッカラでびっくりした。
ハードルとかそんなの関係なかった。
これだけ期待してて期待以下だったらどうしよう・・・とか超絶失礼な心配なんて1ミリも必要なかった。
彼の舞台は私の想像をはるかに超えた。
森田剛の舞台を観に行ったのに、森田剛はステージ上にいませんでした。
そこにいたのは、山口幸人という名の自閉症の15歳の少年でした。
最初に幸人が舞台上で声を発した瞬間、この人ごうくんじゃない、ってすっごいびっくりした。
少しかすれた声。いつもより高く感じる。
ごうくんじゃなかった。
声って変わるんだ。声が変わる役者さんというものを私はたぶん初めて見た。
いや、声そのものは森田剛の声で間違いないんだけど、性質が違うっていうか、物質は森田剛で間違いないのに、聞こえてくる声の性質はあきらかに森田剛のそれではなかった。
見た目はごうくんなのに、雰囲気も佇まいも声までもが森田剛の要素が全くなかった。
歩き方、人への目線の向け方、座り方、服の着脱の仕方、すべての動作が、山口幸人という少年のものだった。
開始5秒で震えた。
この人本当にすごい舞台役者なんだ。
15歳でアスペルガー症候群である幸人くんは、いつもものすごく早口でしゃべり、猫背で、神経質そうに指先を動かす。宇宙と数学と犬と赤色が好きな子どもだった。
私はたぶん、世界で一番、かわいくて純粋で輝いている切なくて哀しい男の子の冒険を見たんだ。
男の子が家族と必死にぶつかる姿を見たんだ。
舞台が終わった直後、とりあえず深呼吸しなきゃその場から動けなかった。
心臓が痛かった。
幸人くんを見守ろうってずっとずっと幸人くんを目で追った3時間だった。もう身体ガッチガチ。森田さんの役への集中力が客席まで伝播してるとしか考えられない。(決めつけ)
ストーリーじたいはちょっと重くて、でもアドリブで笑わせてくれるような場面もあって、なにより視覚として楽しい舞台でした。
あと天使。自閉症の15歳少年を森田剛が演じるって聞いたときからわかってはいたが、ここまで幸人くんが天使だとは思わなかった。TENSHIおったでーーー!!ここにTENSHIおったーーーー!!!!(大声)
タイトルとあらすじを最初に聞いたときは「難しそうだな~」とちょっと思ったけど、そんなこともなかった。純粋にわかりやすい。心の奥がじんわりあったかくなるような、そんなお話。
これって幸人くんが書いた本を舞台化したってコンセプトが根底にはあるんですよね。だから劇中にも度々、「そこはそうじゃない」みたいに(←雑)突然怒る幸人くんが出てくる。
「幸人くん、その数学の問題の証明は、お客さんはみんな今興味ないと思うの。カーテンコールが終わったあとに説明しない??」(ニュアンス)って先生のセリフとか。これがまたのちのちすっげーー、最高に楽しいカーテンコールだってわかるわけですけど、それはまた後で。
キャストのほぼ全員がステージに出ずっぱりで、エスカレーターや駅の改札やATMまでもをキャストの人がやるのも、これが劇だからなんだろうな。“人間版駅の改札”がめちゃくちゃ精巧で笑っちゃう。
仕掛けがたくさんあってすごくおもしろかった。
あのときのあの役者さんも、あのシーンのあの動作もあの目線も、全部にちゃんと意味があるんじゃないかって深読みしたくなっちゃう感じ。
これたぶん1回見ただけじゃ吸収しきれない。いろんなものがギュギュギュッって詰まってて、3時間なんてあっという間だった。
そんでから、ラストシーンのわんこ抱き上げる幸人くんな!!!(急に飛んだ)
物語の救いとなるシーンで、犬が出てくるんです。ゴールデンレトリバーの子犬。本物の子犬。大きさは幸人くんの胴体と同じくらい。
ふわふわのピンクのパーカーを着た幸人くんは、ダンボールから子犬を抱き上げて、ぎゅっと抱きしめた。座り込んで、手で子犬の頭やのどのあたりをなでながら、ぎゅっとずっと抱いていた。
これがまぁーーーーーーー、可愛いのなんの!!!!!!!!!!
可愛い以外の何者でもなかったわ!!!!!!!!!!
まずわんこな!!!!あのわんこめちゃんこ可愛い!!!!本当にぬいぐるみみたい!!!!大人しく幸人くんに抱っこされるがままだった。可愛い。なんだあれ超可愛い。
そして抱っこする幸人くんマジ天使でしかなかったーーーーーーー。ちょっと天使すぎて意味わかんなかったーーーーーー。
このシーンが永遠に続けばいいと思った。実質1分ぐらいのシーンだと思うんだけど、正直1時間ぐらいあってよかった。
そして幸人くんはこの子犬に「ベージュ」って名前を付けるのね。
幸人くんは赤色が好きで、でもその一方で黄色と茶色が嫌いな子どもだった。茶色が嫌いな幸人くんが、大好きな犬に「ベージュ」って名前を付けてぎゅっと抱きしめるの。それが物語最後だった。
ほら、なんかすごい、いろいろ深読みしちゃわない??こういうのがたくさん詰まった舞台だったわけですよ。
そんな感じで(雑)劇が終わり、キャスト全員でのカーテンコール。
二度目のカーテンコールは幸人くんだけ出てきてちょこんとお辞儀。
三度目のカーテンコールではスパンコールのついたキラキラの衣装に着替えた幸人くんがぴょこぴょこ出てきた。
幸人くんがしゃべる。
「みなさん、僕の、証明を聞くために残ってくれてありがとうございます」
そう、劇中でちらっと出てきた、証明。三度目でやっときた。
幸人くんが6分間でピタゴラスの定理の証明を説明してくれるんだけど、これがもう、まさか、まさかよ。
6分間のショーでした。
ハンドマイクを持ち、曲に合わせてステップをふみながらラップ調のような早口で証明をまくし立てる幸人くん。
ギャーーーーーーーーーー!ナニコレーーーーー!!!!!!
お客さんもちらほらその場に立って手拍子するので、私もいてもたってもいられなくなって立ちました。
なにこれ!?!?ライブ!?!?なんかめっちゃコンサートみたいなの始まったがな!!!!ちょ!!!ペンラ!!!ペンラ欲しい!!!(ジャニヲタのさが)
証明を説明してる口調は幸人くんなんだけど、ダンスする前にちょっとうつむいて、他のキャストさんと目見合わせてクスッと笑ってカウントをとっていたのは完全にごうくんだった。
その一瞬だけはごうくんだった。
ほんの3秒ぐらい、私はごうくんに会った。
ぎゃーーーーーーーーーーん( ;∀;)ごうくんだぁぁぁぁぁぁ
すごく簡単なダンスなんだけど、なめらかな動きがごうくんのダンスでした。
こんな舞台で、まさか舞台で、森田剛のダンス拝めるなんてこちとら思ってなかったので、完全なる棚からぼた餅。
ワタシ コンナノ キイテナイヨーーーー!!!(大の字)
証明の内容はほぼ聞いてませんでした。たぶんすごいこと言ってた。
ごめんね、ごうくん!(開き直り)たぶんほとんどの人が証明どころじゃなかったと思うわ!!あんな最後で森田剛出してくるごうくんが悪い!!!!(笑顔)
6分後は、証明の終わりとともに、ステージ上に華々しく銀テープが舞ってきらびやかにショーが終了。なにこれ超楽しい。
マイク片手に手を振っていたのは完全にごうくん。
でも、はけるときの走り方は幸人くんだったなぁ。
3時間ずっと彼を見続けていたのに、ごうくんに会えたの3秒ぐらいでした。
私は今日、森田剛という天才を見ました。
行ってよかったです。今年は行けてよかったです。
あと余談なんだが、私の隣に座ってらっしゃった40〜50代ぐらいのおじさん、開演前に「IZOも金閣も鉈切りもよかったからなぁ」みたいなことを話していて、この方ごうくんの舞台のファンなのか〜!と(なぜか私が)感激してたんだけど、「森田つよしいいよなぁ」って言っててズッコケそうになりました。
お、惜しい・・・!!そこまで観ているのに、名前の読み方が惜しい!!!彼はごうです!!!!(言えなかった)
ものすごく、すごく、いいものを観たなぁって思います。(最後が雑)